任意整理を潜入レポート
社債投資は不確定利付き証券であり、時価の変動の激しい株式にまでは手を出したくないが、確定利付きで値動きの鈍い社債なら─という、やや慎重な外資がこの形で入ってくるのが普通です。
ただ、為替相場の変動の見通しによって債券投資に増減がみられます。
近い将来に「円高」になる見通しが立てば、日本の債券を買おうと外資が流人し、円安見通しの時は流出していきます。
為替差益をねらったやや投機的な動きですから、偵券投資はすべて「慎重」とも言い切れません。
会社設立の場合は、その他三つにみられるようなやや間接的な方法でなく、直接に外資白身が乗り出してきて、日本国内に会社を設立する方法です。
日本の資本と共同して、たとえば折半出資(五〇%ずつの金を出し合う)の合弁会社をつくるような場合と、全く自分たちだけの資本で会社をつくる場合とがあります。
この形式は石油会社に最もよく現われています。
石油会社の大半は外資を入れており、しかもその外人株主は各石油会社の総発行株式数の半分を占め、最大の株主となっています。
これは、世界の原油(共産圏を除く)供給権の大部分をこれら外国石油会社が握っているため、こうしなければ日本では石油精製事業をやっていけないからです。
そのほか、電機、機械、アルミなどの外資提携会社が多いのは、これらの製品の製造特許の関係や、技術面の援助を仰がなければ発展できなかったことを示しています。
ここで外資が日本の株式市場を経由して日本株を所有する場合のことについて、もう少し調べてみます。
実は前に述べた会社設立のケースでも、日本の株式市場から株式を買い取って、なんらかの経営参加をねらうことは可能です。
しかし外資の買い占め、経営乗っ取りに極度に警戒心と非難との強い日本では、現実には別の分類に仕分けしても間違いありません。
さて外資が日本の株式を市場で買いにきたのは、すでに昭和二十六年にみられます。
しかし当時の日本は国力が格段に弱く、外貨の流入も流出も大変な制限をしていました。
したがって、昭和四十年代に入るまでは外資の日本株購入は年間で一億ドル未満の少額でした。
しかし三十年代後半からの国力の増大、円為替の切り上げ見込みなど、基本的要因の改善と、技術的な面ではADR制度の導入などが影響して、海外からの日本株投資は公社債投資と並んで急速に規模が拡大しました。
特に昭和五十五年十二月からの日本の外国為替法の改正は大きな好影響をもたらしました。
従来の外資流出入に対する態度が「原則禁止」で、例外措置をいくつか設けて流出入を認めていたのに対し、この改正では「原則自由」と百八十度の大転換をし、万一の場合だけ制限するという保留条項をつけるだけですから、欧米先進国並みの為替自由化が実現したからです。
アメリカ人が外国の株式に投資する際、その外国が資本の移動を自由に認めていればいいのですが、いろいろの制限をつけている場合の方が多いため、なにかと不便です。
そこでアメリカ国内の証券と同じような性格を持ったADRをアメリカ国内で発行し、これをアメリカの投資家に買わせようというねらいです。
ある会社のADRを出そうとする場合は、次のような手続きを踏みます。
まず、その会社の貸借対照表、損益計算書その他詳細な会社内容を記載した書類をSEC(米国証券取引委員会)に提出し、アメリカでADRの発行を認可してもらうように申請します。
一方受託機関(アメリカの銀行または信託会社)と副受託機関(日本の銀行または信託銀行、ないしは日本にあるアメリカの銀行などの支店)とを決めて、まず副受託銀行に予定した株式数を預けます。
副受託銀行は受託銀行にそのことを報告すると受託銀行はその株式数に見合ったADRを発行します。
そしてSECが提出された書類をみてADR発行の許可を与えると、そのADRはアメリカ国内で売買されることが認められるわけです。
ただ、アメリカの株式が一株平均五十ドル前後(約一万五千円)もしているのに対し、日本の株式は百円単位の価格が圧倒的なので、二十株とか五十株を一つの単位にまとめて1ADRとすることがあります。
たとえば百円の株を二千万株発行する際には、五十株を1ADRとして四十万ADRを発行するという具合です。
昭和四十五年四月、日本の投資信託が、四十六年一月には生命保険会社、損害保険会社が、そして四十六年七月には一般投資家がそれぞれ外国の証券を自由に買えることになりました。
今になってみるとなんということもない話ですが、当時としては非常な変化で、日本証券市場の歴史的な1コマとさえ言えたのです。
なぜなら、前項でも述べたように戦後の日本は万年外資不足の状態でしたから、外資流入は大変なグッドニュースであり、一方、日本人が海外に外資(主としてドルですが)を持ち出すことは危険なことであり、「悪」であるとさえ考えられていたからです。
そのような日本の役人の既成概念を打ち破った要因としては、ひたひたと打ち寄せる国際化の波が第一に考えられますが、直接のきっかけとしては、外貨がたまりすぎて円平価の切り上げの可能性が強まったことにあります。
ところで、外国株式投資が自由になったからといって、どこの国の株式でも買えるわけではありません。
発展途上国のなかには名ばかりの株式市場がありますし、政治的、経済的な不安定さもあります。
一般投資家に思わぬ損害をかけることもありうるので、政府は「指定外国有価証券市場」という基準を作りました。
そして当初は米国をはじめとする八つの先進国の中心的な証券市場に限定しました。
その後、外国証券の売買を仲介する日本の証券業者も外国の事情を研究し、資料も豊富になってきたので、現在では二十ヶ国三十市場以上の範囲にまで投資可能となりました。
ということは、投資可能の市場のなかには絶対安全とはいえないものまで含まれ始めているわけです。
それだけ、日本の投資家も研究が必要になりました。
ただ一般論としてこう言えます。
世界的な好景気、不景気は大ざっぱに言えば同時進行ですが、国によってタイミングの遅れもありますし、まして産業別、企業別の好不況の違いはかなり生じるものです。
証券投資の国際化によって、そうした国別の違いをうまく利用し、株式投資の成果をあげる可能性はぐっと増したといえましょう。
今後も株式投資の国際的広がりの傾向が強まることはあっても、後退することはないと考えられます。
個人投資は円でも、ドルでも、指定された数十の証券会社公社債等に申し込めば、外国株を自由に売買できます。
証券会社はそれらの注文をすぐテレックスで市場に出し、売買が成立したら投資家に通知するという仕組みです。
そして、外国株式を個人は手に持つことはできません。
株券の代わりに「預り証」が手渡されるのです。
株券は、それぞれの証券会社が契約している海外の一流金融機関(カストディアン・バンク)に保管されるのです。
預り証はその見返りとして証券会社が発行します。
買った株券の配当金などは、カストディアン・バンクが一括して受け取り、それが日本の証券会社に移され、そこで円に直して投資家に支払われるという経過をたどります。
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